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タヌキが床下・庭に住み着いたら|在来種ゆえの規制と正しい対処

  • タヌキは在来種。外来生物のアライグマと違い、駆除より「棲み分け」が行政の基本姿勢
  • それでも無許可捕獲は違法(鳥獣保護管理法。1年以下の懲役または100万円以下の罰金)
  • 住み着くのは屋根裏より「床下」。ため糞は屋外にするのが特徴
  • 庭に来るだけなら駆除の対象ではない。生ごみ・ペットフード・果実を屋外に置かず、フンは早めに片づける。エサを与えるのは逆効果(自治体の共通見解)
  • 撃退は「市販の煙タイプの害虫駆除剤・木酢液で追い出す→出ていった後に侵入口を塞ぐ」(北九州市)。畑は金網などの物理柵が有効(農水省)

タヌキはハクビシン・アライグマと立場が違う

同じように家に現れる中型獣でも、タヌキは日本の在来種です。特定外来生物のアライグマ(防除の制度が整備されている)とは行政の扱いが異なり、被害がない限りは共存・棲み分けが基本姿勢になります。とはいえ野生鳥獣なので、無許可の捕獲・殺傷は鳥獣保護管理法違反(1年以下の懲役または100万円以下の罰金。環境省)である点は他の害獣と同じです。

本当にタヌキか:見分けの3ポイント

タヌキは誤認の多い動物です。公式資料の識別ポイントで確認してください。

  1. 足跡は4本指で丸く、ネコに似ているが爪痕は明瞭(アライグマ・ハクビシンは5本指。東京都 見分け方資料・詳しくは足跡の見分け方)
  2. ため糞は屋外にする: 農水省のマニュアルによると、タヌキは「屋外の畑や竹林、庭に比較的大きなため糞をする」のが特徴です(農林水産省)。屋根裏の中のため糞ならハクビシンが有力です(糞の見分け方)。同じ場所にフンが溜まる理由は、1頭のトイレではなく共用の場所だからです。船橋市は「複数の個体が一定の場所に糞をする」習性、島根県の識別パンフレットは「家族やその周辺に住んでいるタヌキが同じ場所でフンをするのでたくさん溜まっていく」と説明しており、札幌市円山動物園はため糞場を「情報交換の場と考えられています」と紹介しています(船橋市・島根県・札幌市円山動物園)。一度フンをされた場所にはまた戻ってきやすいので、早めの片づけが対策になります(後述)
  3. 住み着く場所は床下が多い: 武蔵野市は「タヌキは木登りできないので床下までですが、ハクビシンやアライグマは木登りがうまく屋根裏まで侵入します」と説明しています(武蔵野市)

天井裏でドタドタ音がする場合はハクビシン・アライグマの可能性が高く、床下からの物音・獣臭ならタヌキも候補に入る、という整理です(屋根裏の足音の正体)。

被害と放置リスク

床下に住み着かれると、糞尿による悪臭・ダニやノミの持ち込み・断熱材の破損が起きます。また庭のため糞は悪臭と衛生面の問題になります。タヌキには疥癬(ヒゼンダニによる皮膚病)にかかった個体もおり、毛が抜けた姿で徘徊することがあります。素手で触らない・餌を与えないが鉄則です(餌付けは定着の最大の原因になります)。

庭にタヌキが来る・庭にフンをされる:自治体が案内する「寄せつけない工夫」

床下に住み着く前の段階で多いのが、「夜になると庭にタヌキが入ってくる」「庭の同じ場所にフンをされる」という相談です。茅ヶ崎市はタヌキの被害例として「床下に住み着く、庭にフンや尿をする、農作物を荒らす」を挙げています(茅ヶ崎市)。三鷹市のよくある質問「タヌキが庭に入ってくるのですが、どうしたらいいですか」への回答は、タヌキは道路の側溝や下水管などをねぐらにして都市の環境に順応しており、「迷いこんでしまったわけではありません」というものです(三鷹市)。市街地の庭に出てくること自体は珍しくなく、庭に来るだけなら駆除の対象として扱われていない、というのが自治体の共通した前提です。

そのうえで、自治体が案内している「寄せつけない工夫」は次の3つに集約されます。

工夫具体的な内容出典
エサを絶つペットフードの残り・生ごみなど野生動物のエサになるものを屋外に放置しない。敷地内の果実は早めに収穫するか網をかける船橋市・市川市
フンを早く片づけるタヌキは排泄を1か所で行う習性があり、一度フンをした場所に戻ってくる可能性が高い。見つけたらそのままにせず早めに処理する市川市
隠れ場所を減らす敷地内の草木が伸びないよう手入れし、物置などを頻繁に見回って住みつかれないようにする。換気口・軒下・戸袋の隙間には金網をかぶせる船橋市

市川市は木酢液を薄めたものやホームセンターの忌避剤も挙げていますが、「日が経つと効果は低下するので、定期的に散布を」としています。忌避剤だけに頼らず、エサとフンの管理を先に行うのが順序です。

やってはいけないのは、エサを与えることです。三鷹市・立川市は、人間の与えるエサは自然のエサと比べて栄養が良すぎるため「逆にタヌキは病気にかかりやすくなってしまいます」と説明し、船橋市は、エサを与えると人に慣れたり住みついたりする可能性があると注意しています(立川市・船橋市。立川市の記載は東京都環境局の資料が出典)。東京都環境局も野生動物全般について、エサを与えると人に食べ物をねだるようになり、人とのトラブルを起こすようになると駆除されてしまう場合もあると案内しています(東京都環境局「野生動物への餌付け防止のお願い」)。練馬区は、栄養価の高いエサで病気にかかりやすくなるほか過剰な繁殖が起こり、増えすぎた野生動物が鳴き声やフンで生活環境に被害をもたらす、と理由を挙げています(練馬区)。

毛の抜けたタヌキ(疥癬症)に対しても同じです。船橋市・白井市は「エサをあげないでください。タヌキが延命し、ほかの動物に感染が広がることになります」とし、屋外で飼っている犬や猫が接触で感染するおそれがあること、ペットのエサが放置されているとタヌキが寄りつきやすくなることを挙げています(白井市・市川市)。

なお、船橋市・市川市・白井市はいずれも「市ではタヌキの捕獲や駆除を行っていない」と明記しています。寄せつけない工夫をしても床下に住みつかれるなど被害が続く場合、自治体の案内の中心は民間業者への依頼(船橋市・市川市は業者団体を紹介)で、個人が捕獲する場合も県の許可が前提です。この流れは次のセクションの手順そのものです(各自治体ページは2026年10月5日確認)。

タヌキの撃退法:床下から追い出す・家庭菜園に入れない

捕獲はできなくても、追い出すこと・入れないことは許可なしでできます。自治体と農林水産省が案内している方法を、場面別にまとめます。

床下・天井裏に住み着いた場合は、北九州市が「先ずは追い出す方法を試してください」として、次の3つを順に挙げています(北九州市「よくある相談と対策【タヌキなど】」)。

  1. 煙で追い出す: ホームセンター等で市販されている、火を使わずに煙の出るタイプの害虫駆除剤を床下に置く
  2. においで追い出す: 木酢液・竹酢液などの忌避剤を布に染み込ませて、侵入口付近に置く
  3. 侵入口を塞ぐ: 屋根の合わせ目のすき間や床下通風口などの侵入口を、追い払った後に塞いで再侵入を防ぐ

それでも効果がなく被害が防げない場合は、駆除業者に依頼するか、市の許可を得て捕獲する、という順番です。塞ぐのは出ていったのを確かめてから、という点は下の「対処の進め方」の手順2と同じです。

庭・家庭菜園に入ってくる場合、鹿児島市は「家庭菜園等は侵入されないようネットを張ってください」と案内し、収穫しない柿などの果樹は伐採や縮伐でエサにならないようにすることも挙げています。においについては「野生動物は臭いに対して非常に敏感です」として、木酢液や竹酢液を直接まいたり、丸めた紙や布に浸み込ませて置いたりすると「嫌がって近づかなくなることもあります」という書き方です(鹿児島市)。前述の市川市の注意(日が経つと効果が低下する)と合わせると、においは補助で、エサの管理と柵が中心になります。

畑を柵で囲う場合、農林水産省の被害防止マニュアルは、ワイヤーメッシュやトタン板などの物理柵は「タヌキやアナグマのような樹上活動ができない動物に対しては有効」としています。木に登るハクビシン・アライグマには金網柵が効きにくいのと対照的です。電気柵を使う場合のタヌキ向けの目安は次のとおりです(農林水産省 野生鳥獣被害防止マニュアル(中型獣類編)「侵入防止対策技術」)。

項目マニュアルの記載
柵線の高さタヌキ・アナグマは地上10・20・30・40cmの4段(ハクビシン・アライグマは5cmと10cmの2段)
通電しない時柵線を柵から取り外す。電気ショックを感じない柵線を触らせると、動物が電気柵に慣れてしまう(効果は「痛みの学習」で維持される)
設置後の管理柵の周辺をこまめに除草し、破損や柵の下の掘り起こし跡がないか見回る

市販の撃退グッズには、天敵の尿のにおいの忌避剤、超音波や光、センサー式の散水器などもありますが、タヌキへの効果を示した公的機関の資料は確認できませんでした(2026年10月24日時点)。試す場合も、エサの管理と侵入口・柵の対策を先に済ませておくのが順序です。

対処の進め方

  1. 餌をなくす: 生ごみ・ペットフード・落ちた果実を屋外に放置しない(東京都環境局がアライグマ・ハクビシン対策として案内する内容と共通です。東京都環境局)
  2. 床下の侵入口をふさぐ: 通気口の破れ・基礎の隙間を金網等で補修する。中にいる状態でふさがない(閉じ込めると死んで二次被害になります)。立川市・三鷹市も、床下に住み着いた場合は「タヌキがえさを取りに外へ出ていくのを待ち、いなくなった後」に出入口をふさぐよう案内しています(立川市)
  3. 自治体に相談する: 「自治体名+タヌキ」で検索。捕獲器の貸出や捕獲許可の案内をしている自治体があります。ただし多くの自治体は「被害がなければ見守りを」という姿勢です
  4. 業者に相談する: 床下で営巣している・糞尿被害が進んでいる・疥癬個体が居着いた場合は、調査から追い出し・封鎖・清掃・消毒まで一括で頼める専門業者が現実的です

自分でできる範囲と法律の線引きは、ハクビシンの記事(自分でできることの整理)と同じ考え方です。捕獲は許可制、個人が今日できるのは餌の管理と(不在確認後の)封鎖まで、と覚えておいてください。

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