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アライグマ駆除の正しい進め方|特定外来生物ゆえの規制と相談先

  • アライグマは特定外来生物。捕獲にも飼養・運搬にも法規制がかかり、自分では手を出せない
  • 見分けのポイントは「尾の黒い縞5〜7本」「5本指で爪痕が明瞭な足跡」「ため糞をしない」
  • 多くの自治体が防除計画に基づく捕獲を実施。まず自治体、被害が進んでいたら業者へ
  • 賃貸・アパートなら先に大家・管理会社へ連絡。自治体の捕獲制度は「所有者または管理者からの申請」が条件のことが多い

アライグマは法規制が二重にかかる動物

アライグマは環境省が指定する特定外来生物です(環境省 特定外来生物等一覧)。外来生物法により飼育・保管・運搬・野外への放出が原則禁止されており、無許可の野外放出は個人で3年以下の懲役または300万円以下の罰金という重い罰則があります(環境省 外来生物法の規制罰則)。加えて野生鳥獣として鳥獣保護管理法の捕獲規制もかかるため、「捕まえる」「移動させる」「逃がす」のすべてが無許可ではできません

つまりアライグマを自分で駆除・退治することはできず、個人ができるのは、ハクビシン以上に「予防と相談」に限られます(ハクビシンとの制度の違いはハクビシン駆除は自分でできる?参照)。

本当にアライグマか:見分けの3ポイント

タヌキ・ハクビシンとの誤認が非常に多い動物です。東京都・農水省の公式資料による識別ポイントは次の3つです。

  1. 尾に黒い縞が5〜7本ある(東京都 見分け方資料
  2. 足跡は5本指で爪痕が明瞭。人の手を小さくしたような形(前足約5.5×6cm。詳しくは足跡の見分け方
  3. ため糞をしない(ため糞があればハクビシンが有力。農水省マニュアル

体格は頭胴長42〜60cm・体重4〜10kgと中型犬に近く、ハクビシン(体重2〜4kg)より大柄です(環境省 生物多様性センター)。

放置リスク:家屋被害と感染症

環境省の資料は、アライグマが家屋に侵入して「爪痕を残したり、天井に穴を開けたり、糞尿による被害をもたらす」こと、そして「アライグマ回虫や狂犬病など、人や動物に共通する感染症を引き起こす危険性」を挙げています(生物多様性センター資料)。力が強く、ハクビシンより家屋の破損被害が大きくなりやすいのが特徴です。活動時間帯は夜間が中心ですが、昼間も活動します(農水省)。

糞尿被害の進み方(天井のシミ→悪臭→腐食)は屋根裏の異臭の記事で解説しています。

安全に対応するために

アライグマ回虫による幼虫移行症は、糞(フン)に含まれる虫卵を口にすることが唯一の感染源です。安全のためには、アライグマ本体や糞に直接触れない、糞がある場所に不用意に近づかないことが重要です(国立健康危機管理研究機構)。誤って糞や汚染された土を口にした可能性がある場合は、早めに医療機関を受診してください。自分で糞尿を片づける際は、素手で触らず手袋を着用するなど接触を避ける対策が必要です。

相談先①:自治体の防除制度

アライグマは特定外来生物であるがゆえに、自治体側の対策制度が整っている動物でもあります。東京都では区市町が「東京都アライグマ・ハクビシン防除実施計画」に基づいて捕獲を実施しており、相談先は各区市町の環境部署です(東京都環境局)。中野区(戸建て・一軒家で継続被害がある場合の捕獲事業)、新宿区・台東区(箱わな設置)など、無料の捕獲支援を持つ自治体は珍しくありません。

まず「自治体名+アライグマ」で検索して制度を確認してください。対象範囲は自治体によって異なります。たとえば世田谷区は捕獲器の設置事業の対象建物を「住宅(集合住宅を含む)」としており、アパート・マンションも対象になります。ただし利用には捕獲器の設置・回収作業への立会いと毎日の見回りが条件です(世田谷区 ハクビシン・アライグマ対策)。糞尿の清掃・消毒や建物の修繕は自治体はやってくれないため、その場合は業者に相談してください。なお申請できるのは建物の所有者・管理者に限る自治体が多いため、賃貸にお住まいなら次の項目を先に読んでください。

賃貸・アパートで被害が出たら:自治体や業者より先に大家・管理会社へ

賃貸住宅で屋根裏の物音や糞尿被害に気づいたら、自治体や業者に連絡する前に大家(貸主)か管理会社に知らせるのが順番です。理由は2つあります。

1つ目は民法上の順番です。 借りている建物に修繕が必要になったとき、借主は遅滞なくその旨を貸主に通知しなければなりません(民法615条)。そして建物の使用に必要な修繕は原則として貸主の義務で、借主の責めに帰すべき事由で必要になった修繕だけが例外です(民法606条1項)。侵入口の補修や天井板の張り替えは建物側の工事なので、自分で業者を手配する前に通知しておくことが借主自身を守ります。通知したのに貸主が相当の期間内に修繕しないとき、または急迫の事情があるときは、借主が修繕できると定められています(民法607条の2。条文はe-Gov法令検索「民法」)。修繕費用の負担は、この606条1項の原則と契約書の特約を出発点に貸主と話し合うことになります。

2つ目は自治体の捕獲制度の条件です。 東京都内の区の防除事業を見ると、申請できる人を建物の所有者または管理者に限る運用が多く、入居者だけでは申し込めないことがあります。

自治体賃貸・集合住宅の扱い申請者の条件
世田谷区住宅(集合住宅を含む)が対象。都営住宅・JKK・UR都市機構の賃貸住宅は対象外対象の敷地及び建物の所有者または管理者による依頼
北区一般住宅・民間集合住宅が対象。公共住宅は対象外土地の所有者または管理者からの申請
目黒区一般住宅・民間集合住宅が対象。都立住宅・住宅供給公社の賃貸住宅は対象外「区内に家屋を所有している」ことが要件。箱わなの毎日の見回りは所有者(管理者)が行う
中野区集合住宅(マンション・アパート等)は対象外戸建て住宅で、管理会社がある場合と空き家は除く

出典:世田谷区 ハクビシン・アライグマ対策北区 アライグマ・ハクビシンの被害目黒区 ハクビシンやアライグマの被害でお困りの方へ中野区「被害が続いたら」(いずれも2026年9月12日確認)

つまり賃貸では、自治体の制度を使うにも大家・管理会社の関与が前提です。専門業者に頼む場合も、屋根裏への立ち入りや侵入口の封鎖は建物への工事にあたるため、貸主の了解を得てから進めてください。入居者ができるのは、被害の日時・場所・音や糞の写真を記録して貸主に伝えること、そして餌になる生ごみ・ペットフードを屋外に置かないことです。

相談先②:業者に頼むべきケース、選び方とトラブル回避

  • 屋根裏で営巣・子育てしている(捕獲後の封鎖まで一括で終わらせたい)
  • 糞尿汚染・断熱材の破壊が進んでいて、清掃・消毒・修繕が必要
  • 自治体の箱わなの空き待ちが長い・集合住宅で対象外だった
  • 再発保証つきで侵入口封鎖まで頼みたい

この場合は害獣対策の専門業者に無料調査を依頼します。業者選びで見積もりのトラブルを避けるポイントは、「捕獲(許可手続き含む)・封鎖・清掃・保証」が金額に含まれているかを契約前に確認することです。捕獲だけで封鎖・清掃が別料金になっていたり再発時の保証がない業者は、あとから追加費用を請求されたり再依頼が必要になったりするトラブルにつながりやすいため注意してください。あわせて自分でできる予防(餌になる果実・生ごみ・ペットフードの管理、屋根に届く枝の剪定、隙間の封鎖)は今日から始められます(東京都環境局)。

「追い出す」だけでは解決しない

音や光で敷地に近づきにくくする、隙間をふさいで再侵入を防ぐといった予防はできますが、屋根裏にすでにいるアライグマを自分で追い出す方法を試みるのは避けてください。刺激されたアライグマを無許可で移動させる行為は、外来生物法が禁じる「移動させる」に該当するおそれがあります(環境省 外来生物法の規制)。追い出した個体がその後どこに移動したか管理できない点でも近隣トラブルの原因になるため、追い出しを含む対応は自治体か専門業者に依頼してください。

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