羽アリはシロアリ?クロアリ?3秒でわかる見分け方と飛ぶ時期
- 見るのは3点:触角(数珠状ならシロアリ)・胴(寸胴ならシロアリ)・羽(4枚同サイズならシロアリ)
- シロアリはアリの仲間ではなくゴキブリに近い昆虫。5〜10月はクロアリの羽アリ(結婚飛行)も飛ぶので、色や大きさで決めつけず3点で確認。迷ったら保健所に虫を持ち込んで確認できる自治体もある
- 家を加害する種類は4つ。ヤマトシロアリは4〜5月の昼間、イエシロアリは6〜7月の夜、乾材シロアリ(アメリカカンザイ・ダイコク)は夏に群飛する
- 家の中から大量の羽アリ=近くに巣と被害がある可能性。踏みつぶす前に写真を
見分け方:協会公式の3ポイント
羽アリがシロアリか普通のアリ(クロアリ)かは、公益社団法人日本しろあり対策協会が公式に示す3点で見分けられます(協会Q&A)。
| 部位 | シロアリの羽アリ | クロアリの羽アリ |
|---|---|---|
| 触角 | 「真珠のネックレスのように数珠状」 | 「く」の字に曲がる |
| 胴 | くびれがなく寸胴 | 腰が細くくびれる |
| 羽 | 4枚ともほぼ同じ大きさ・形 | 前の羽が後ろの羽より大きい |
つかまえて指でつぶさず、セロハンテープに貼り付けるか写真に撮ると、あとで業者・協会に確認するときの証拠になります。
シロアリとクロアリは別の昆虫:アリの羽アリも同じ季節に飛ぶ
名前に「アリ」とつきますが、シロアリはアリの仲間ではありません。横浜市衛生研究所は「ゴキブリに近い仲間のシロアリ」と説明し(横浜市衛生研究所「洗面所に羽のある虫がたくさん出現!!(シロアリ)」)、横浜市環境科学研究所の観察資料も「アリはハチのなかま」「シロアリはアリではありません(ゴキブリのなかま)」と書いています(横浜市環境科学研究所「いろいろなアリを観察してみよう」)。国立環境研究所の侵入生物データベースでも、イエシロアリの分類群は「シロアリ目 ミゾガシラシロアリ科」です(国立環境研究所 侵入生物DB「イエシロアリ」)。見分ける必要がある理由は、中野区保健所の一文がはっきりしています。「アリは人に大きな損害をあたえませんが、シロアリは木材を食い荒らす、おそるべき害虫です」(中野区「シロアリについて」)。
| 比べる点 | シロアリの羽アリ | クロアリ(アリ)の羽アリ |
|---|---|---|
| 昆虫としての分類 | シロアリ目。ゴキブリに近い仲間(横浜市・国立環境研究所) | ハチの仲間(横浜市環境科学研究所) |
| 家への害 | 木材を食べ、長い年月で大きな被害になる(横浜市)。乾材シロアリは乾いた木材や家具も食害(協会) | 「人に大きな損害をあたえません」(中野区)。食べ物は他の生き物・甘いもの・植物の種など、種類で異なる(横浜市環境科学研究所) |
| 羽アリが飛ぶ時期 | ヤマトシロアリは4〜5月の午前中、イエシロアリは6〜7月の夕方(協会・堺市) | 5〜10月に、種類ごとにほぼ決まった時期に「結婚飛行」で一斉に飛ぶ(横浜市) |
| 色・大きさ | 羽アリは黒っぽく「アリの羽アリと似ている」(世田谷区)。ヤマト4.5〜7.5mmで頭部黒褐色・体は黄色、イエ6.5〜8.5mmで頭部褐色・体は橙黄色(横浜市) | 日本のアリは大きくても12mmくらい(横浜市環境科学研究所)。色は黒のほか赤・あめ色の種類もいる |
つまり色と大きさでは区別がつきません。「シロアリ=白い虫」のイメージがありますが、人前に出てくる羽アリは黒っぽい色です(世田谷区「シロアリについて」)。協会も「羽アリの群飛期はシロアリが人前に姿を現す唯一の時期」としており(協会Q&A「羽アリが飛ぶ時期」)、だからこそ冒頭の3ポイント(触角・胴・羽)で見るのが基本になります。
5〜6月に洗面所や風呂場の窓際に羽のある虫が群がっていても、横浜市衛生研究所は「シロアリの出現とあわてないで、少し待ってください」と呼びかけています。同じ時期にクロアリの羽アリも飛ぶからです。確認手順は①羽が左右あわせて4枚あるか、②前の羽と後ろの羽の大きさを比べる、③触角がじゅず状か、中ほどで折れているか、の3つ。「羽の大きさが明らかに異なれば、また、触角がじゅず状でなければ、シロアリではありません」と明記しています。
羽アリ本体が見つからないときの手がかりもあります。国立環境研究所によると、イエシロアリの羽アリは「巣から飛び立ち地上で翅を落として交尾を行ない、新しい巣を作る」とされています。落ちている羽を拾えた場合も、4枚が同じ大きさ・同じ形ならシロアリ、前後で大きさが違えばクロアリの可能性、という見方ができます。
自分で判断がつかないときは、保健所に虫を持ち込む方法があります。 横浜市は「虫の同定は非常に困難です。アリでもシロアリでもないかもしれません」として近くの福祉保健センターへ、世田谷区も「保健所までお持ちいただければシロアリかどうか確認します。できるだけつぶさないようにお持ちください」と案内しています。窓口の名前や対応は自治体ごとに違うので、お住まいの市区のサイトで「シロアリ」を検索してみてください。クロアリの羽アリと確認できれば家の木材への心配は小さく、シロアリなら屋内や巣の中のシロアリは駆除が難しいため専門業者に依頼し、費用が高額になることもあるので複数の見積もりを取るよう大阪市大正区が案内しています(大阪市大正区「シロアリについて」)。中野区は「外来種であるアメリカカンザイシロアリには対応していない業者もあります」とも注意しているので、次の節で乾材シロアリの疑いが出たときは、業者に対応できるかを先に確認してください。
羽アリの種類は4つ:飛ぶ時期と時間帯でも見当がつく
日本には22種のシロアリがいますが、建物を加害する主な種類は、日本しろあり対策協会によるとヤマトシロアリ・イエシロアリの2種と、近年被害が増えている乾材シロアリのアメリカカンザイシロアリ・ダイコクシロアリの計4種です(協会Q&A「種類と分布」)。群飛(羽アリが一斉に飛び立つこと)の時期と時間帯は種類ごとに違うので、羽アリを見た「月と時間帯」だけでも見当がつきます(協会Q&A「羽アリが飛ぶ時期」)。
| 種類 | 群飛の時期 | 時間帯 | 分布(協会Q&A) |
|---|---|---|---|
| ヤマトシロアリ | 4〜5月(沖縄は2月、東北・北海道は6月頃) | 昼間 | 北海道北部を除く日本全土 |
| イエシロアリ | 6〜7月 | 夜間(電灯に飛来) | 神奈川県以西の海岸線に沿った温暖な地域・千葉県の一部・南西諸島・小笠原諸島 |
| アメリカカンザイシロアリ | 6〜9月 | 昼間(数回ずつ何度も群飛) | 乾材シロアリ。近年被害が増えている |
| ダイコクシロアリ | 5〜8月 | 夜間(少数ずつ電灯に集まる) | 乾材シロアリ。奄美大島以南 |
つまり「4〜5月の昼間、風呂場や玄関から羽アリが湧いた」ならヤマトシロアリ、「初夏の夜、明かりに茶色っぽい羽アリが集まる」ならイエシロアリ、「夏から初秋の昼間に、少しずつ何度も羽アリが出る」ならアメリカカンザイシロアリの疑いが濃くなります。乾材シロアリは土に接しない乾いた木材も加害するため、後述の被害サインでは「乾いた砂粒状の糞」が手がかりになります。
種類を確実に判別したい場合、協会は被害箇所の兵アリの頭部形状での判定を最も確実としています(協会Q&A「種類の判別」):ヤマトシロアリは頭部がほぼ円筒形で体長の約1/2、イエシロアリは卵形で体長の約1/3・触ると頭の先から乳白色の液を出す、アメリカカンザイシロアリは頭部がヤマトに似るが体長がヤマトの約2倍で触角の根元から3番目の節が長い、ダイコクシロアリは頭部の前面が裁断したように平らで体長の約1/4、という違いです。
家から出た羽アリは「巣がある」サイン
協会は「羽アリを見かけた場合、その近辺にはシロアリが生息しており、被害も発生している場合があります」と注意喚起しています(協会「羽アリを見たら!!」)。特に家の中(風呂場・洗面所・玄関の木部)から大量に出た場合は、建物内に巣がある可能性が高い状況です。
あわせて確認したいのが協会公式の被害サインです(協会Q&A):基礎・束石・土台の蟻道(土のトンネル)、木材の割れ目の蟻土、柱を叩くと空洞音がする、ふすま・雨戸の建付けが悪くなった、乾いた砂粒状の糞(乾材シロアリ)。
羽アリを見たらやること・やらないこと
- 写真を撮る(種類の判定材料)
- 掃除機で吸うか、殺虫剤は最小限に。大量の殺虫剤を撒くと、巣本体のシロアリが散って被害範囲の特定が難しくなります
- 侵入口をコーキングで塞がない(同上の理由で調査を難しくします)
- 点検を依頼する。協会には都道府県別の登録施工業者名簿(会員名簿)と消費者相談窓口があります。協会会員を装う業者への注意喚起も出ているため、名簿での確認は業者選びの安全弁になります
クロアリの羽アリだった場合、家への加害はシロアリほどではありませんが、「クロアリが多い=餌になる虫がいる」こともあります。シロアリと確定したら、費用感はシロアリ駆除の費用相場、今後の備えはシロアリ予防の記事へ進んでください。